夭折した天才ホットウィール・デザイナー
2011.08.01モデルカー人物伝
ホットウィールは子供の頃から好きでした。このブランドには、いろんな切り口があるので、一部分飽きても、全く別の部分で楽しめたりする。もちろん根幹はホットロッド&カスタムのスピリット、そして世界中のモーター・カルチャーに対する半端じゃない知識と造詣。そしてなによりもそれらのエッセンスを巧くまとめる洒落心。
その個性を支えているのが、他のブランドには存在しない『デザイン・チーム』の存在です。最近引退したチーフ・デザイナー、御大ラリー・ウッドを始め、鬼才マーク・ジョーンズ、近年では若手のジュン・イマイやアレック・タムなど、時代によっていずれ劣らぬ才能豊かなデザイナーが活躍し、多くの傑作、怪作、珍作を生み出してきたのです。
そんな中にあって、私が個人的に最もレスペクトしているデザイナーの一人が、故ボブ・ラブジョイです。ラリーとほぼ同期としてデザイナーを務めた彼は、RRRumblers、Chopcycles、HotBirdsなど、ホットウィールのサイドライン・プロダクトで活躍し、特に1973年にリリースされた一連の彼の作品は、当時としては本当にぶっとんだデザインのものばかり。当時はあまり受け入れられず、それゆえ、その1年で生産中止の憂き目に。
ラブジョイ自身もこれら怪作を生んですぐ、趣味のハンググライダーで事故に遭遇、若い命を散らしてしまいます。
しかしそれだけに今となっては如何にもあの時代、1970年代初頭~中盤の空気を映すマスターピースとしての評価も高いのです。ここではそんな彼の作品の中から、私が最も好きなRRRumblers の Boneshaker をご紹介しておきます。
言葉は要りませんね…。最高の1台だと思います。
彼が生きていたら、ホットウィールの歴史は全く違う歩みを刻んでいたのかも知れません。